有機酸(ギ酸等)の用途と製品紹介

水分の多い食品副産物をウェットな状態で流通することは、飼料化コストが低減できるため、排出事業者、利用畜産農家双方にとって大変メリットのあることです。一方で栄養価に富む食品副産物をウェットな状態で保管・流通することは、腐敗や酵母発酵等の2次発酵リスクが非常に高いことを意味します。
これらの対策として、乳酸発酵法や加酸法が開発されてきました。加酸法の中でもギ酸の添加は一番安価で効果の再現性が高い方法として知られています。
オルタナフィードは食品関連事業者様、畜産農家様向けに、ギ酸、ギ酸プロピオン酸混合品、さらには安全性を高めた緩衝化有機酸製剤の販売をしております。その主な用途についてご紹介いたします。

たった一晩の酵母発酵によって倒壊したサイレージ

有機酸(ギ酸等)の活用事例

食品工場では・・・
水分含量の高い食品副産物の保存性改善に多くの食品工場で使われています。

副産物飼料の酵母発酵対策にメタックスを添加

工場概要:東京都 乳製品製造工場

導入のきっかけを教えて下さい。
乳製品製造工程で発生するシロップをそのままストレートに豚の飼料原料として近隣農家に提供していたが、発酵が早く農場から豚の調子が悪くなり、嗜好性もあまりよくないので使えないと言われました。 相談したところ、酵母発酵による過度のアルコール生成とその摂取が原因と言われ、発酵抑制にメタックス(76%ギ酸)の添加を提案されました。
どのように使われていますか?
シロップを一度加熱処理し、直後にメタックス(76%ギ酸)を0.2%自動添加、専用タンクで保管しています。添加は専用タンクへの移送時にインラインで行っています。
導入効果はいかがでしょうか?
導入以前は工場の保管段階でもガスの発生が確認されたのですが、今ではそのような現象はなくなり、農家からもクレームなく順調に使って頂いています。 保管期間を長くできるので、以前のように毎日運搬する必要がなくなり、運送コスト低減にもつながりました。IBCタンクからの自動添加なので、日常作業で危険を感じることもありません。

養豚では・・・
抗菌性飼料添加物の代替品として、例えば胃酸の産出が不十分な離乳豚の腸内環境の改善等の目的に使われています。

酪農では・・・
夏場の飼料の2次発酵防止に使われています。

夏場の飼料の2次発酵防止にアマシル™NAを添加

農場概要:熊本県内 150頭の搾乳農家 自給コーンサイレージ+購入牧草+配合飼料を毎日混合し給餌(1回/日)

導入のきっかけを教えて下さい。
夏場の給餌飼料の2次発酵に悩んでいました。毎夕1回給餌なのですが、翌昼頃には臭いだし、発熱がおきていました。 2次発酵は食下量の低下だけでなく、乳量の低下、残飼の廃棄等経営的にダメージが大きいので、何とかしたいと考え担当獣医に相談したところギ酸の添加を薦められました。 ギ酸は危険で作業機械を傷めるので気乗りはしなかったのですが、比較的安全性の高いアマシル™NAを紹介され、使ってみることにしました。
どのように使われていますか?
毎年6月から9月末頃まで、飼料製造時毎にミキサーにアマシルを0.4%添加しています。 なるべく機械を傷めたくないので、最後の原料投入時に一緒に入れ、30分程度混合して給餌しています。
導入効果はいかがでしょうか?
アマシル™NAを使い出して2シーズン目に入りましたが夏場であってもそれなりに食下量がキープできているのを実感しています。 添加コストはかかりますが、それ以上に乳量の改善、残餌減があるので費用対効果は高いと感じています。今のやり方であれば、ミキサー等の機械腐食も特段進んでいるようには感じません。

自給飼料の製造では・・・
自給飼料サイレージ調整剤に使われています。牧草の水分含量に左右されることなく一定品質のサイレージを作れることから、天候に左右されることなく収穫調整ができます。

有機酸(ギ酸等)製品のご紹介

メタックスL(40%ギ酸)

製 造
朝日化学工業所(大阪)
成 分
ギ酸:40%以上 水:60%以下
特 徴
手動噴霧器等で広く薄くギ酸を対象物に噴霧したいお客様で主に使われています。濃度が薄いので刺激性も低く労働安全性を確保したい現場で使われています。外観視認性を高めた色付き(赤)もご用意が可能です。

メタックスS(76%ギ酸)

製 造
朝日化学工業所(大阪)
成 分
ギ酸:76%以上 水:24%以下
特 徴
自動添加装置等の労働安全性が確保された現場でご利用されています。対象物のpHを下げ、酵母発酵対策等に効果的です。外観視認性を高めた色付き(赤)もご用意が可能です。

メタックスH(85%ギ酸)

コスト重視タイプ
製 造
朝日化学工業所(大阪)
成 分
ギ酸:85%以上 水:15%以下
特 徴
自動添加装置等の労働安全性が確保された現場で、特にコストパフォーマンスを重視されたいお客様でご利用されています。対象物のpHを下げ、酵母発酵対策等に効果的です。外観視認性を高めた色付き(赤)もご用意が可能です。尚、当該品は保管量によっては消防法上の届出が必要な地域もございます。運用の際は管轄消防署にご確認下さい。

オルタナミックス

製 造
朝日化学工業所(大阪)
成 分
ギ酸、プロピオン酸、水
特 徴
ギ酸とプロピオン酸を配合した商品です。水分含量の高い(80%以上)副産物飼料の保存性改善、特に酵母、カビ対策に効果的です。外観視認性を高めた色付き(赤)です。

アマシル™NA

労働安全性重視タイプ
製 造
BASF社(ドイツ)
成 分
ギ酸、緩衝剤、水
特 徴
ギ酸に、緩衝剤を配合することで、ギ酸を使用する上でネックであった金属、皮膚刺激性を低減し、労働安全性を高めた商品です。酵母発酵、酪酸発酵抑制に効果的です。

ルプロサイド™NA

労働安全性重視タイプ
製 造
BASF社(ドイツ)
成 分
ギ酸、プロピオン酸、緩衝剤、水
特 徴
ギ酸とプロピオン酸をバランスよく配合した製品です。酪農現場で問題になる夏場の飼料の二次発酵抑制に効果的です。緩衝剤を配合することで、ギ酸を使用する上でネックであった金属、皮膚刺激性を低減し、労働安全性を高めた商品です。

有機酸(ギ酸等) Q&A

食品製造業、畜産業で用いられる有機酸(ギ酸等)について、よくあるご質問、疑問にお答えいたします。

A

有機酸の抗菌性は
①pHの低下によるもの
②解離していない有機酸の比率(非解離型が殺菌力が強い)
③有機酸自身の有する抗菌力
によります。

有機酸は、対象物に添加することで、まず対象物のpHを下げ、その後非解離の有機酸が菌体組織内部に侵入します。組織に侵入した有機酸は組織内で解離し菌体内のpHを低下させることで、微生物の活動を鈍らせます。

有機酸の種類によって、pHを下げる力、抗菌力は異なります。pHを下げるのは、ギ酸のほうがプロピオン酸より得意ですが、同じpHの環境下であれば、プロピオン酸の方がギ酸よりカビや酵母抑制に効果的であると言われています。このことから目的によって有機酸を使い分けたり、複数の有機酸を組み合わせて使うことでより効果が高まると言われています。

A

目的、対象物及びその状態によって添加量は異なります。当社までご相談ください。
尚、飼料安全法上では、ギ酸は0.5%、プロピオン酸は0.3%(サイレージは1.0%)までの添加が認められています。

A

各商品ポリ缶(22kg入り)、ケミカルドラム(220kg入り)、IBCタンク(1,000kg入り)がございます。

A

日本全国(一部離島を除く)対応致します。
配送は指定の運送会社で行います。ドラム、バルクタンクの受け渡しにはお客様でフォークリフトをご用意頂く必要がございます。

A

ご注文後、5営業日以内(離島を除く)を目途に納品致します。

A

環境に配慮して、空容器引取りサービスを実施しております。ポリタンクは10本以上から、ドラム及びバルクタンク(アマシル™NA、ルプロサイド™NA製品を除く)は1本から、新しい商品を納品させていただいた時に引き取らせて頂いております。
※一部回収ができない地域もございます。
※畜産防疫上引き取りできない場合もございます。

A

消費期限はもうけておりません。貯蔵はできるだけ冷暗所でお願い致します。

A

各製品ご用意しております。

※SDSとは安全データシート(Safety Data Sheet)の略語です。

A

90%未満のギ酸は消防法による危険物に該当しません。ただし地域によっては90%以下であっても保管量によって少量危険物に指定されているケースがございます。導入の際に管轄消防署にお問合せ下さい。

A

ギ酸は皮膚に対しては非常な浸透性をもっているため、万が一皮膚に触れた場合は、ヤケドをしたような状態になります。付着した場合はただちに大量の水で洗浄して下さい。取扱い時は必ず耐酸性ゴム手袋、保護メガネ、長袖を着用し、十分に注意して作業して下さい。ナイロンに付着すると直ちに溶解するのでナイロン製の衣服は避けて下さい。

A

緩衝化された有機酸は皮膚への浸透を遅らせるもので、浸透をさせないものではありません。ギ酸同様、安全対策を講じた上で作業して頂き、万が一皮膚に付着した時はすみやかに大量の水で洗い流して下さい。

ご質問・ご相談等ありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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